【デザイナーの服語り Vol.1】 「温かい服」の正体とは?素材と空気が織りなす、心地よい冬の過ごし方

【デザイナーの服語り Vol.1】 「温かい服」の正体とは?素材と空気が織りなす、心地よい冬の過ごし方

こんにちは。Nanafuデザイナーの成田です。

急に冷え込みが厳しくなり、温かい飲み物や毛布が恋しい季節になりましたね。
Nanafuではこれまで、商品の魅力をお伝えすることに力を注いできましたが、これからは少し視点を変えて、作り手であるデザイナーの視点から「服そのものの面白さ」や「素材の奥深さ」について綴るコラムを始めてみたいと思います。

題して、「デザイナーの服語り」。

記念すべき第1回目は、今まさに皆さんが求めているであろう「温かい服とは何か」についてお話しします。


「ウール=温かい」は本当?

 

 

冬服を選ぶとき、皆さんはタグの品質表示を見て「ウールが入っているから温かい」「ポリエステルだから寒い」と判断していませんか?

実は、素材の名前だけで温かさが決まるわけではありません。
もちろん、カシミヤや上質なウールは温かい素材の代表格ですが、薄手のウールよりも、しっかりと織られた厚手のコットンの方が温かい場合もあります。

デザイナーの視点で「温かさ」を定義するとき、私は大きく分けて2つのポイントを大切にしています。

  • 「空気」をどれだけ溜め込めるか
  • 「湿度」を保てるか

この2つが揃ったとき、服は本当の意味で体を温めてくれるのです。


温かさの正体は「空気」を纏うこと

 


ダウンジャケットがなぜ温かいかご存知でしょうか。それは羽毛の間にたくさんの「動かない空気」を溜め込んでいるからなのです。魔法瓶と同じ原理ですね。

これは日常着やルームウェアにも同じことが言えます。

例えば、Nanafuの「尾州ウール」の羽織。
これは表面がループ状(タオルのような輪っか)になっています。このループの間に空気がたっぷりと含まれるため、体温で温められた空気を逃しません。

また、人気の「刺し子ジャガード」も同様です。
これは生地が二重構造になっていて、表地と裏地の間に空気の層ができます。さらに刺し子のような凹凸があることで、肌に触れる面積と外気の間にふっくらとした空気のクッションが生まれるのです。

「温かい服を着る」ということは、言い換えれば「温かい空気を着る」ということなんですね。


忘れがちな「湿度」と体感温度

 


もう一つ大切なのが「湿度」です。

冬場、化学繊維のニットを着ていて「温かいけれど、肌が乾燥して痒い」「静電気がすごい」と感じたことはありませんか?
ポリエステルなどの化学繊維は速乾性が高く便利な反面、必要な水分まで奪ってしまうことがあります。

一方で、コットンやシルク、ウールなどの天然繊維は、適度な「保湿性(吸湿性)」を持っています。

お風呂上がりの肌は水分を含んでいます。その水分を適度に保ちながら、優しく包み込む。乾燥による不快感がなく、しっとりとした温もりが続く。これが天然素材ならではの「優しい温かさ」です。


レイヤードでつくる、冬の空気層

 


最後に、着こなしについて。
一枚で完璧な温かさを求めるのも良いですが、Nanafuが提案したいのは「重ね着(レイヤード)による空気の層」です。

肌触りの良いコットンの浴衣の上に、空気をたっぷり含むウールの羽織を重ねる。
こうすることで、浴衣と羽織の間にも空気の層が生まれ、魔法瓶効果がさらに高まります。

お家の中では風が吹かないので、ダウンジャケットのような防風性は必要ありません。その代わり、ふんわりと空気を含み、肌の湿度を守ってくれる素材を重ねることで、心まで解けるような極上の温かさが手に入ります。


最後に


素材の表示だけでなく、「これは空気を含んでくれそうかな?」「肌の潤いを守ってくれそうかな?」という視点で服を選んでみると、冬の過ごし方が少し変わるかもしれません。

まだまだ寒い日が続きますが、Nanafuの服と共に、温かく健やかな冬をお過ごしください。

「この素材ってどうなの?」「こんな時はどう着ればいい?」

そんな、日頃ふと感じる服への疑問や、デザイナーに聞いてみたいことがありましたら、ぜひお気軽にお声をお寄せください。

公式LINE、InstagramのDM、またはメールなど、どのツールからでも構いません。
皆様からいただいた「知りたい」というお声を、これからの「服語り」の題材にさせていただければと思います。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。


今回のおすすめアイテム


コラムの中で触れた、空気を含んで温かさを保つNanafuのアイテムたちです。
冬のくつろぎ時間のお供に、ぜひご覧ください。


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